ナルミズ沢遡行活動報告文:寺内

活動日 2008年9月28日
活動場所 神奈川県足柄上郡山北町中川 笹子沢(左俣)
メンバー 3回生:寺内 1回生:田代、吉川
使用した装備 9mm50mザイル、ハーケン
参考資料 山と渓谷社『関東周辺沢登りベスト50コース』
活動の目的・目標
  • ザイルワーク・読図の復習をする。
  • 秋の活動の第1歩として意欲を持って参加し、気持ちを切り替える。
  • 体力・精神力を鍛え直す。
  • あまり開拓されていない沢にて経験値の上昇を図る。
タイムスケジュール 07:20(新松田駅集合)−07:30(バス乗車)−08:32(あしがら荘バス停)−08:54(新しい堰堤)
−09:35(入渓)−10:16(二俣)−11:57(10mナメ滝)−12:31(二俣)−14:10(登山道)
−16:40(細川橋バス停)−17:21(バス乗車)
主観的評価 総合グレード:★★★★☆☆☆☆☆☆(中級)
まずアプローチが楽。
バス停からすぐの橋を越え、舗装された道を行けば自然に着く。
大滝は簡単に巻くことが出来るが、その後の大滝はほとんど巻かなくてはいけないので、
巻いてしまうと面白みがなくなってしまう。
ツメは踏み後・道等無く、わかりずらい。
が、ひたすら稜線に向けて涸れ沢を行けば登山道に出る。
下山もやさしい道で、全行程は意外と簡単であった。

07:20 小田急線新松田駅に集合。
今回は珍しく現地集合とした。

駅に着いてからは交番に計画書を提出し、バスの往復券を購入後、そのまますぐバスに乗り込んだ。

07:30 西丹沢自然教室行きのバスへ乗車。
早朝の集合のため、みんな眠い。
これから活動をするなんて信じられん・・・。

08:32 ハイツ&ヴィラ中川バス停(今はあしがら荘バス停になっている)で下車。
すぐのところに笹子橋があり、沢が流れている。

橋の反対側に渡り、右岸に沿った道を進んでいった。
最近舗装したらしく、ガードレールが新しかった。
08:54 ずーと右岸を歩いていると、しばらくして写真の堰堤が現れた。
左上の看板には平成20年3月完成とある。
新しすぎる・・・。
よく見ると、今までの道は登山道となり、左岸に移っているようだ。

しかし、明らかに堰堤の中心から突破できるので、
そのまま沢に入ろうということになり、ここで沢準備。

あまり濡れないとは思っていたが、防水はしっかりやった。

09:35 少々のんびりしすぎたが、ようやく出発。
堰堤の中は人が通るには十分、ってか余裕すぎるスペースがあるので楽々通過。
この先沢は大きく右に曲がると同時に、急に雰囲気が変わっていった。
09:40 2つめの堰堤。
左岸を見るとさっきの登山道がくっきりと見えるので、そこまで上がることにした。
堰堤を越える登山道は、金網の通路と石の階段で出来ていて、歩きやすい。

09:45 3段50mのナメ滝を持つ支流が右岸から出合う。
ここら一体は河原が続き、歩きやすかった。

09:58 3つめの堰堤。
これも左岸の登山道から越える。

しばらく行くと、だんだんとゴルジュのようになり、小さいが釜も出てきた。
水はとても綺麗だったのだが、寒すぎて飛び込む気にはならなかった。

滝と言えるのかどうか、微妙な小滝を幾つか越える。
10:16 二俣。
遠くから見てもすぐわかる、どでかい滝があるのでわかりやすい。

二俣の両方向にそれぞれ25mの滝があり、非常に圧巻。
進むべき左俣の大滝は写真の通り。
見るからにシャワークライムを強いられそう。

巻き道は左側にわかりやすそうなのがあるのだが、
これを登りに来たようなものなので、登攀の準備をする。
リードは寺内。
滝の右側から取り付き、中腹でトラバースして水流すぐ左を登る。

順調に行ったかと思いきやトラブルが連続発生。

@ハンマーが消える。
3つ目のハーケンを打った直後、体の体勢が悪く直そうとした時に落としてしまった。
通常なら落ちないように体に付けているし、この時もハンマーに取り付けてあったカラビナを
ハーネスにかけていた・・・つもりだったのだが、どうやらかけた場所を間違えたらしく、
落とした衝撃でカラビナがすっぽ抜けてしまったようだ。
そんなわけで、大事な大事なハンマーを中盤で落としてしまった。
しかも、かなり体勢が悪いうえ、斜面が急で引き返すことも出来ない。
困った・・・。

Aハーケンが抜ける。
ヤバイと思ってザイルにテンションをかけたら
よりにもよって最後に打ち付けたハーケンがあっさり抜けてしまった。
2つ目のハーケンは自分の位置からはかなり下にあるし、
3分の2以上登ってしまっているため降りるに降りられない。
本当に困った・・・。
上まで来てもらって確保してもらおうかとも思ったが、
真上に岩があり難しい。巻き道からも大きく外れていたし。

しかし、このまま維持していても、非常に辛く、いつかは落ちそうだったので、
危ないのは承知で行けるところまで進んでみることにした。

幸いにも、もう2,3歩上がったところに枝が出ていて、持っていたスリングでセルフビレイをとる。
少なくともさっきよりは状況が良くはなった。
しかし、結局ここに留まるわけにもいかないので、
その枝にかけたスリングをランニングビレイにかえ、落ち口付近まで行くことに。
だが、落ち口一歩手前で硬直。
しかし幸いにも、この地点では落ち口も巻き道も手を伸ばすことが出来たため、
ビレイヤーである吉川をおいて田代が先に大滝を巻き、確保してもらうことにした。

田代の巻きが不安だったが、普通に登ってきて、すぐに確保してくれた。
これでようやく地獄から開放された。
本当に生きている心地がしなかった。

田代の巻いてきた道は正規ルートじゃないようだが、明らかにこっちの方が楽に思える。
巻き道の右壁を登ってきたわけだが、そこからならすぐ落ち口に出ることが出来るが、
巻き道をそのまま上へ行ってしまうと、無駄に懸垂下降をしなくてはならなくなる。

ヌンチャク等回収のため、吉川はそのまま大滝を直登した。
こっちは問題なくスムーズに登ることが出来た。
11:57 10mナメ滝(右の写真)。
登れそうだったので挑戦してみたが、1回目は滑ったので心が折れ、結局は左から巻いた。

12:22 6mの滝。
記録には10mと書いてあるが、明らかにそんな高さは無かった。

このあと堰堤上の3m小滝が数個続いた。
綺麗な形をしていて、人工物のような滝だった。

12:31 二俣。
合流地点には水が流れているのだが、両方とも二俣から2〜3mほど行くと水が涸れていた。
ここは右を進む。
12:53 オーバーハング気味の6m滝。
行けそうだと思い、取り付いてみるが、上部に行けば行くほどボロボロ崩れ、
とても登れそうになかったので少し前の左岸から巻いた。

沢に再度戻ると目の前には15mの涸れ滝(右の写真)が見えてきた。

明らかに越えられなさそうだったのに、右の斜面から巻いた。
巻いた先に仕事道があるようなのだが見つからなかった。

登山道の方角を頼りに斜面を進む。
しかし、結局沢に下りることになったので、涸れ沢の中をずっと歩く。

しばらくすると多くの分岐が現れ、行き止まりが多くなる。
一番奥だと思われるところの正面の斜面を登ると、
待ちに待った登山道が見えた。

14:10 下山開始。

思ったより歩きやすい道で、非常に満足。

最初の分岐までの間、赤テープに惑わされて道を間違えた。
というか道があったのになぜかそれてしまっていた。
なんで間違えたのだろう???
15;20 二本杉峠にてカップラーメンを食べる。
あまり食べていなかっただけあって腹がかなり減っていた。

16:40 細川橋バス停に到着。
偶然にもほぼ同時にバスが来たのだが、全く着替えていなかったので、
次のバスに乗ることにした。

着替えと装備の整理をして次のバスを待つ。

17:21 バスに乗車。
新松田駅に着き、一同は解散した。

各人雑感

寺内 これの前の活動、大川では、実に反省点が多かった。
したがってこの活動ではとにかく失敗が無いよう意気込んでいた。
しかし、実際はあまりにもひどい結果を残してしまった。
登攀中にあってはならないアクシデントが発生したり、
下山で少し道を間違えたり・・・。
幸いにもここがそれほど難しいところではなかったために大事故には繋がらなかったが、
十分に反省しこれからは決しておこらないようにするべきことである。
申し訳ない・・・。
沢自体の感想は、思ったより面白かった。
最初からとにかく水が綺麗で、エメラルドグリーンの釜を見慣れた自分にとって、
すこし青みがかったグレーのような沢床は新鮮だった。
滝自体は少ないが、歩きやすく、すんなり活動を終えられた。
いい沢だと思う。
また、ここで今まで見たことないほど多くのキノコを発見した。秋を感じた。
食べたかったが、何が食べられるのかがさっぱりわからないので、今度はちゃんと勉強しようと思った。
田代 夏の厳しい活動を終えてから初めての活動。
総合的に見てあまり難しい沢ではなく、体力的にも厳しくはなかった。
やはり夏の成果が体に蓄積されていたのか、自らのレベルアップを感じた。
しかしこれは一番厄介であった25m滝を直登しなかったことが大きかった。
先輩がかなり苦戦してるのを見て激しく巻きたいと思っていたがそれが運良く現実になった。
登った二人はかなり消耗していたので内心一人勝ちした気分になった。
若干道に迷う時もあったが最後までスムーズに進んだ。
久しぶりに沢で良い1日を送れた。
吉川 今回の遡行では滝に対する恐怖感が以前よりもなくなったことに気付いた。
沢に関して言えばおもしろいとは言い難いものであったが
自然に触れて良い気分転換が出来たので良かった。

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