ナルミズ沢遡行活動報告文:寺内

活動日 2008年8月16〜23日
活動場所 北海道川上郡弟子屈町 釧路川 屈斜路湖〜磯分内
メンバー 3回生:寺内 1回生:竹田、田代、吉川
使用した装備 ボイジャー460T、LYNX U
参考資料 山と渓谷社 『全国リバーツーリング55マップ』
活動の目的・目標
  • 初体験となるリバーツーリングにおける活動・行動の分析を行う
  • 技術力の伝達、向上を図る
  • 長時間の移動によって精神力を養う
  • 奄美大島のプレという意識を持ちながら行動する
タイムスケジュール 1日目:09:45(大宮駅集合)〜

3日目:15:25(摩周駅到着)−15:47(タクシー乗車)−16:08(屈斜路湖到着)−21:30(入川地点)

4日目:05:00(起床&出発)−09:48(摩周大橋)−12:25(出発)−16:20(開発橋)−18:08(磯分内駅)

5日目:04:40(起床)−07:58(釧路駅、解散)〜
主観的評価 総合グレード:★★★★☆☆☆☆☆☆(中級)
参考資料には初級とあり、現地では一般客も体験カヤックが出来るほどの地ということで
正直そこまでむずかしいところはないだろうと高をくくっていた。
しかし、鬱蒼と茂るジャングルの中は思ったより操舵を駆使しなければならず大変。
第2ステージでは多くの瀬や岩などの障害物に苦しめられる。
大雨で増水しても、流れは速くなったが川底は浅い。
とてもじゃないがフォールディングカヤックでは進むことは難しかった。
大雨の影響と艇の破損により撤退。
釧路川は湿原以外の部分を行く場合は気を付けましょう・・・。

一日目

09:45 各自青春18きっぷを買い、それを使って大宮駅に集合。
雨の影響で、実質夏の長期合宿第1号となってしまった。
経験不足な部員達で不安ではあったが、これから北海道に行くというだけで意欲が湧き上がる。

長い道のりをひたすら電車の乗り継ぎのみで進む。
とにかく退屈で仕方がない。

21:00 盛岡に到着。
美味い冷麺を食べ、この日の夕食とする。

18きっぷでは乗れないのだが、時間の関係上乗ることになったいわて銀河鉄道に乗り込む。
この車両がこの合宿の中で最も人が居ない車両となった。
好きなようにシートに寝て快適な時間を過ごす。

23:40 八戸駅に到着。
夜の駅には終電を逃した人が数人居るだけで実に静かだった。
廊下の端っこにあるベンチスペースを使って寝ることに。
外にはコンビニもあり、かなり快適だった。

ニ日目

06:15 八戸駅を出発。
青森まで行き、特急に乗って函館へ向かう。

本来18きっぷは特急は乗れないのだが、津軽海峡線の蟹田〜木古内間であれば
特急であっても乗車が可能というシステムが存在する。
これを利用し、北海道に上陸した。

10:13 木古内駅(北海道)到着。
次の電車まではかなり時間があったため、海岸まで行ってみることにした。

なにやらこの街は、「極寒みそぎ祭」というのがあるらしく、冬に海に飛び込むのだそうだ。
そこで、海に着いたので、即うちらもみそいでみた。
しかし、夏といえど北海道の海は冷たく、先に飛び込んだ吉川が海でベトベトになっていたのを見て、
後に続く者はいなかった・・・。

ちょっとした有名店「急行食堂」の名物やきそばを食べ、再び電車の旅へ。

23:50 滝川駅に到着。
明日の始発に乗るため駅近くの地下歩道に泊まる。

三日目
05:49 滝川発の始発に乗車。
またも電車に乗り続ける。

13:00 釧路駅に到着。
ようやく釧路まで辿り着くことができた。
長かった・・・。

駅周辺のスーパーにて食料の買出し後、釧網本線に乗り、最後の電車を過ごす。

釧網本線からはこれから行くであろう釧路湿原やら、やばそうな暗雲やらが見えた。

15:25 摩周駅到着。
ついに着きました。
あとはタクシーに乗って屈斜路湖に行くだけ。
タクシーの運転手に聞いたらでかい車を呼んでくれることになったので、それまで自由時間。
駅にあった足湯を楽しんだり、足りなかった防寒着を買いに行ったりした。
15:47 タクシーに乗車。
北海道の雄大な土地を走っていく。

摩周駅までは意外と距離があった。

16:08 屈斜路湖に到着。
荷物を持ち、目的地のコタン温泉へと歩く。

温泉まではすぐで、すでに何人かが入浴していた。
屈斜路湖はとにかく透明度が高く、沈んでいく夕日が幻想的に見えた。

夜、というか朝まで暇なので、とりあえず湖周辺で遊んでいた。
もちろん入川地点やらは確認に行った。
18:20 湖畔にある食堂で夕食。
本当は食材はあったのだが、ここら辺一帯はキャンプ禁止なので外食にした。

そこの食堂はアイヌ料理や北海道料理なんかを出していて、ライブ会場にもなるところだった。
せっかくなので、行者ニンニクたっぷりのコタン丼や、鹿肉の野生丼などを食す。
かなりうまかったので大満足だった。

夕食後はとりあえず温泉に入った。
暗くなった後は人が少なく、たまに誰かが入りに来る程度だった。

苔がかなり生えているその温泉は、結構ヌルヌルで、ちょっとばかしぬるかった。
21:30 入川地点に移動。
場所は屈斜路湖から釧路川に流れていく地点の駐車スペース。
橋のすぐ近くで、入川届入れなども設置されている。

何か言われてもすぐに出発出来るように先に艇を組み立てることにした。

艇の組み立て、荷物の整理、防水処理など全て終えたら、温泉に行ったり、寝たりして時間を潰す。
単純に艇の上で寝るつもりだったが、あまりの寒さに防水処理をしてたシュラフを羽織る。

一方、温泉に再度向かった田代・吉川の2人は、温泉で少し寝ていた。
しかし、足湯状態で寝たらしく、熱くて死にそうになったそうな。

四日目
05:00 起床。
もうすでに明るくなってきている。これなら行けるだろう。
起床してシュラフを閉まったらすぐに出発した。

釧路川の上流部はかなりのジャングルだった。
かなり虫も多く、枝木が水から突き出ている。
カーブが多く、操舵が大変であった。

フォールディングカヤックに乗るのは初だったので、一応経験が一番多い寺内が操舵。
一番経験が少ない竹田が同乗。残り2人がダッキーに乗った。

あまりにも細くて通れそうにない道や割とすごい瀬なんかも出てきて、意外と大変であった。
09:48 摩周大橋に到着。
ただでさえあまり寝ていないのに、いきなり長距離を漕いでヘトヘトになっていた。
おまけに朝早くの冷たい川に何回か沈したため、かなり寒かった。

とりあえず朝食にすることにした。
昨夜に使用しなかった米を使い、ゴージャスな朝食となった。
近くに道の駅があったおかげで水には困らなかった。

あまりにも疲れていたため、少しだけ仮眠をとってから行くことに。
横になっていたら自然に眠っていた。
12:25 出発。
ここからは割と滑らかになるようだったのでカヤックの操舵を田代、同乗を竹田にし、
ダッキーには寺内、吉川が乗った。
今思えば、この時に無理やりにでも止めておけばあんな惨事にはならなかったかもしれない・・・。

しばらく街の中を行くコンクリートの川を進んだ。
だが、それも短く、すぐに周りは自然に包まれる。

ちょっと行くと人工の滑り台のような瀬が2つ現れた。
流れに乗っていけば難なく越えられる。
が、ダッキー組みは越えた先で沈した。

ここから先、急に川底が浅く、しかも周りの木がひどくなり、難易度が一気に上がった。
カヤック組みがやばそうだったので代わってあげたかったが、寄せるような岸もなく、
とりあえず次の休憩地点まで頑張ってもらうことにした。
13:25頃 あまりにも瀬と、急激なカーブが続き、非常に怖い地点を通り過ぎた。
しかもその頃、同時に雨が降り、わずかながら増水している感がみえる。

連続する最後の瀬を越えたところで左岸にギリギリ寄せられる地点があったので、
ダッキーはそこに寄せて、いつの間にか後方から姿を消したカヤックを待つことにした。

随分待っても全然姿を現さないためさすがに心配になってきたが、
流れが急で抑えてないと艇は流されるし、上流に戻ることも難しい。
とにかく待ってみるしかなかった。

しばらくして上流から何か流れてくるのを発見した。
左岸に沿って流れてきたため、そのまま捕まえることが出来た。

それはうちらの食料だった・・・。

「これはいよいよやばいかもしれん・・・」
そう思っていると、今度はマットが流れてきた。
「一体幾つ流す気だよ・・・全然固定できてねぇじゃん・・・」
13:45 声が聞こえてきたと思ったら姿が見えた。
とりあえずは一安心。無事であるなら何より・・・。
って、良く見ると、明らかにおかしな点が見受けられる。
竹田が持っているはずのダブルパドルが・・・シングルになっとる・・・。

どうやら何回も沈した上、田代が艇と木の間に挟まって死に掛けたのだとか。
その際パドルが折れ、食料達が消えたそうな。

おまけにその事故のせいでとんでもないことになった。
何と艇に穴が開き、浸水している。
おまけに中フレームの一部も折れ、操舵が困難になっていたのだ。

こんな状態であと2日下るわけにも行かないので急遽活動中止となった。
がしかし、地図を見てもここは街からも遠く、道路すらない。
しかたないのでこの状態のまま下り、休憩予定地点であった橋まで進むことにした。

カヤックの操舵は寺内でいいとして、残りはどうしようか迷ったが、
若干パニックになっている田代と竹田を一緒にしたくなかったので、
カヤックの同乗には田代を選んだ。
ここから先も瀬とカーブの連続で恐ろしいほど難しい場所が続いた。
しかも雨で水勢も水量も増し、激流っぽくなっているところもある。

しばらくすすむと雨は止み、少し落ち着いてきた。

16:20 開発橋に到着。
橋を越えた左岸に人工の浅瀬があり、そこに艇を止める。
地図を見ても、ここから駅まではそう遠くなく、ここで活動を中止することにした。

すっかり雨は止んでいたので片付けは楽だった。
全ての荷物をザックに詰め直す。

17:34 出発。
全員テンションが低い。
ただでさえ疲れきっているのに、この重さは無いだろう・・・。
18:08 磯分内駅に到着。
無人駅であり、待合室の中はかなり広かった。

各自荷物を片付けながら、水の確保に行ったりした。

20:46 夕食。
まだ電車で降りてくる人もいたので、邪魔にならないように、うまく時間の合間で食べた。

最後の電車が通った後、翌朝の始発に乗るため、我々は就寝した。

この日に釧路に行くことも出来たが、それだと18きっぷが足りなくなるので止めた。

五日目
04:40 起床。
昨日の土砂降りはもう止んでいる。

適当に朝食を作りながら荷物の整理をする。
だが、思ったより朝食が遅れ、本来乗るはずだった電車に乗ることが出来なかった。
次の電車に乗ることにして、ゆっくりと朝食をいただく。

06:54 釧網本線に乗る。
結局釧路には2日間しかいなかったなぁとぼやきながら釧路湿原を後にする。

07:58 釧路駅到着。
当初の予定通り、竹田と田代はいち早く飛行機で東京まで帰ることになった。
寺内と吉川はこのまま電車で東京まで帰る。
飛行機のキャンセル待ちをするため、駅に着いてからすぐバスに乗り空港へと行ってしまった。
2人と分かれた後、とりあえず飯を食いたいということになり、
近くの市場で勝手丼なるものを食べた。
これは市場にある各店舗から刺身類を適当に丼に乗っけて食べるというゴージャスな代物。
意外とサービスしてくれて、割り引いてくれたり、カニを乗っけてくれたりしてくれるところもあった。

十分、釧路に満足したのでさっさと帰ることにした。

15:00 新得駅に到着。
ここでかなりの待ち時間があったため、街を散策。
すると、駅前に銭湯を発見。川後、初の風呂となった。
嬉しくなりわざわざ田代にメールまでした。

その後、近くの本屋に行ったり、駅の中をグルグルして時間を潰していた。
19:16 新得駅を出発。
またも長い電車の旅が続く。

だがここで事件が・・・。
次の駅では割と早めの乗換えだったにも関わらず、この電車がいきなり急停車。
何かと思ったら、運転手が「鹿と衝突しました」と告げる。
何て運の無い・・・。

しばらくしたら復旧して、再び走り出したが、もう乗り換えには間に合いそうもない。
ということで、この電車で行けるところまで行こうと、終点の旭川に向かった。

21:41 旭川駅に到着。
もうほとんどの店は閉まっていたが、わずかに開いていたラーメン屋に入り夕食。

夕食後、再び駅に戻り、待合室のテレビでオリンピックを見ていた。

部屋が閉まった後は道路わきにあるベンチで寝た。
ビルの液晶に表示されている気温は10℃をきっていた。
寒いわけだ・・・。

六日目
後はただ観光しながら帰ったというだけなので簡単な記録だけ書くことにする。

起床後、すぐ始発に乗り札幌を目指す。
飛行機代をケチり、わざわざ何日もかけて電車で帰っているのだから、
せっかくなので空いている時間に観光することにした。
とは言っても駅から離れるほど空いている時間も無く、駅近くの店に行くくらいであった。

まず札幌駅でラーメンミュージアムに行き朝食。
開店前に並んで、目当ての店舗に入る。
極上の味噌ラーメンはとにかく美味かった。

駅を観光後、小樽、函館と進む。
函館では夕食に塩ラーメンを食べた。

更に進み、木古内駅に到達。
駅出てすぐのバスの待合ベンチで寝た。
しっかりしたベンチで、今回一番快適な寝床であったと言える。

七日目
またも始発に乗り北海道を抜ける。

青森、弘前、秋田、仙台へと進んだ。

仙台では駅から出て、近くの吉野家に行った。
久々に食べて、妙にしんみりしていた。

ここから白石駅まで進み、この日はここで一泊することに。
しかし、周りに本当に何もなく、ちっちゃなベンチで固まって寝ていた。
前日と違って、今回一番ひどかった寝床だった。

八日目
今日帰れると思うと、何だか妙な気分になった。

福島、郡山を過ぎ、宇都宮まで来た。
それぞれの地元まではあと一本で帰れる。
ついにここまで来たかと感動する。

一気に浦和まで行き、南浦和で昼食。

北朝霞にて、ついに解散となった。
長かった道のりを18きっぷ購入時についていたアンケートに長々と書き込んでやった。

吉川はここから荷物を置きに大学まで行く。

こうして長い旅が終わった。

各人雑感

寺内 とにかく大変な合宿だった。
移動の長さもさることながら、宿泊地に困ったり、事前情報とはえらく難易度が異なる川だったり、
天候が崩れ土砂降りなったり、カヤックが大破したり・・・。
挙げればキリがないほど、今回は悲惨な目にあった。
しかし、それらは偶然に起きたと片付けてはいけない。
多くは自分達の未熟さが招いた結果であり、反省しなくてはいけない点であると思う。
しっかりと隊員同士で話し合い、その原因究明や問題解決をしていきたい。
今回下った釧路川について。
屈斜路湖はとても綺麗で幻想的であった。北海道に来たと思わせる雄大さがあった。
そこから流れる釧路川は鬱蒼としたジャングルの中を進み、活動意欲を増進させていった。
だが、思った以上に急なカーブ、倒木、浅瀬が多く、かなり苦しかった。
特に必要以上に体を動かす竹田によって多くのメンバーが沈の巻き添えを喰らった。
本当に寒くて、休憩地点では震えながら味噌汁を必死に飲んでいた。
そこからはとにかく浅瀬が多く、カヤックにダメージを与えてしまった。
これは非常に残念なことをしてしまった。
せめてこの代償が報われるように、この活動での反省をしっかり受け止め、次回の活動に繋げたいと思う。
竹田 「釧路」。今思い出したくない言葉ベスト3に入る。
釧路まで三日かけて行ったあげく雨となり、さらに釧路川に大切なモノを数々飲み込まれた。
6年間使った帽子、SOYJOY、釧路は楽しいだろうという希望、だ。
また、今月25000円で買ったばかりのカメラはぶっ壊れた。
今回の目的は川下りであったが、結局ひたすら寒さに耐え、精神力を養う活動となった。
でも、それなりに得るモノはあったと思う。
川で死にかけたが、何とか怪我なしで助かったし、まぁよしとしよう。
北海道は今度は観光で楽しみたい。
田代 初の長期合宿ということで気合いが入った活動だった。
ただ荷物が桁外れに重く、場所を取るということだけ最初憂鬱だった。
しかし移動で既にかなりの時間が経ち気合いが現地に着く頃には無くなってしまった。
さらに活動前日の睡眠不足も加わり当日は悪いコンディションで臨むことになってしまった。
釧路川は野生そのもので幾度となく藪に突っ込んでしまった。
さらに追い討ちをかけたのが川の浅さで自分の技術でカヤックを操るのは不可能であった。
明らかな技術不足と川の流れを甘く見ていたことを後悔した。
実際危ないところであった。
長期合宿のノウハウを学べたことや川の怖さを経験できたことは良いことであったが
最早活動が終わる頃にはトラウマになってしまっていた。
吉川 今回の釧路川は途中で終わってしまったので残念だった。
夏とはいえ北海道はやはり寒かった。
カヤックが直ったら是非またリバーツーリングに行きたいと思う。

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