文:寺内
活動日 | 2008年11月2〜4日 |
活動場所 | 山梨県山梨市三富川浦 笛吹川流域 釜ノ沢東俣 |
メンバー | 3回生:寺内 1回生:吉川、渡辺 |
使用した装備 | 特になし。 |
参考資料 | 特になし。(山と渓谷社『関東周辺沢登りベスト50コース』を参照予定であった) |
活動の目的・目標 |
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タイムスケジュール | 一日目:19:00(中央大学出発)−23:30(西沢渓谷入口) 二日目:05:00(起床)−07:20(出発)−08:07(二俣吊橋)−10:04(乙女沢)−10:49(東のナメ沢) −11:23(西のナメ沢)−12:04(釜ノ沢出合)−12:08(魚止滝)−12:46(千畳のナメ) −13:16(曲がり滝)−13:40(両門の滝)−14:10(ヤゲンの滝)−16:15(テンバ) 三日目:05:00(起床)−07:46(出発)−08:33(5段ナメ滝)−09:47(木賊沢)−10:13(ポンプ小屋) −10:31(甲武信小屋)−11:16(出発)−11:32(木賊山山頂)−14:43(ヌク沢)−15:24(下山終了) |
主観的評価 | 総合グレード:★★★★☆☆☆☆☆☆(中級) 行程的には長い沢だが、全体的に見てそれほど難しいところはなかった。 しかし、全くザイルは出さなかったものの、高度感のある滝が多く、それなりに大変であった。 特に多くの滝がナメ滝であるため、スリップによる滑落が心配された。 11月という季節のため、水温・気温共に厳しいものがあった。 それでも紅葉に包まれた様相はとても見ごたえがあり、満足な活動になった。 |
遡行図 DLはこちら |
19:00 中央大学を出発。 今回は寺内の自宅車を使用。 レンタカーは高いから・・・。 足りなかった食材等を補充するために、近所のドンキへ向かう。 買出し後、OGの藤澤先輩と合流。 今回は現地までの同行という形で参加してもらった。 夕食に近くの松屋へ寄り、後は一直線に西沢渓谷を目指した。 23:30 西沢渓谷入口近くにある公衆便所に到着。 水もトイレもあるので、下の駐車場よりこっちの方が快適。 おまけに施設はなかなか新しい。 すぐにテントを張り、なるべく早く寝ることにした。 ここでとんでもない事実が発覚。 参考資料として持ってきていたはずの遡行図がない。 どうやら部室に置いてきてしまったらしい。 仕方ないので今回は遡行図なしで行くことにした。 過去に行ったことのある沢であるし、資料も何回も読んだし、地形図もある。 なんとか行けるでしょう。 せっかくなので自分達で遡行図を描いてみることにした。 |
二日目
05:00 起床。 信じられんほどに寒い・・・。 これが秋の山か・・・。 さぁ朝食をと思っていたら、朝食を買い忘れていたことに気付く。 活動開始前なのにこんなんで大丈夫なのか??? 仕方ないので、余分に買っておいたカップラーメンを食べる。 昼食用にと用意したのだが、行動食で我慢することにした。 本来はその方がいいのだが、今回はのんびり行きながら楽しむつもりだったので用意していた。 朝食を済ませたら車を西沢渓谷無料駐車場に移動させた。 こんなに寒いのに、人で溢れている。 駐車場もほぼ満車で、入れられるのかが不安だったが、幸いにも何台かスペースがあった。 |
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07:20 山梨市駅行きのバスに乗り、朝市で帰宅する藤澤先輩をお見送り。 バス出発後、そのまま東沢へ出発した。 ヌク沢の時に歩いた道を行く。 懐かしい。 08:07 二俣吊橋に到着。 多くの人が西沢渓谷へ歩いている中、我々だけ東沢渓谷に降り立つ。 登山道にかなり新しい赤テープが付いていた。 この赤テープはこの先随所にあった。 こんな寒い中、下部ゴルジュを突破する気はさらさら無く、普通に登山道を進む。 紅葉が素晴らしい。 そしてやはり水量は少なかった。 |
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10:04 乙女沢出合。 50mを超える乙女滝はさすがの迫力。 しばらくそのスケールに圧倒されていた。 ここからは登山道から降り、河原を進む。 東沢渓谷の素晴らしい岩壁に包まれ、テンションがあがる。 10:49 東のナメ沢出合。 300m大滝は見事。 さっき見た乙女滝の感動もどっかに行ってしまう。 ふと上部を見ると、3段目上部辺りに登攀している2人組を発見。 こんな時期に遡行している人もまだいるんだなぁと思いつつも、 それ以上にこの滝を登攀するという、その過酷さが凄い。 なんというガチな人たちだ。 手を振ってみたが、さすがにそんな余裕は無かったらしく、振り返してはくれなかった。 |
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11:23 西のナメ沢出合。 「こりゃぁ快適な滑りが出来るなぁ」 「夏ならやっていたけど・・・」 すると果敢な男、渡辺が動いた。 この寒い中、自ら進んで滝へ挑み、上から滑ってきた。 そのあまりの勢いに、全身で水に浸かってしまった。 ちょっと触るだけで痛みが走るこの水に・・・・。 渡辺という男を見くびっていたようだ・・・。 こいつは熱い。 |
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12:04 釜ノ沢出合。 ようやく入渓かよ〜。 長かった。 普通の人より時間がかかっているのは、遊んでいたからです。 出合はそんなに広くなく、らしくなかった。 12:08 魚止滝(10m)。 少し休憩を取り、滝に取り付く。 左側の木につかまりながら登っていく。 すぐ上には釜のあるナメ滝(4m)。 傾斜は非常に緩やか。 実際滝ではないな・・・。 右側を歩く。 |
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12:46 遂に到着しました、千畳のナメ。 足に全く負担の無いナメ床はまさに快適そのもの。 残念ながらあまり紅葉は見られず、落ち葉の山であったが、 それでもその美しさは変わっていない。 ウキウキしながら進んでいく。 千畳のナメの最後には、傾斜の緩やかな3段10mナメ滝が待っている。 左から登るが、かなり滑りやすいので、お互いに助け合いながら登った。 |
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13:16 7m曲がり滝。 まず直登は不可能。 右側の踏み後に沿って巻く。 ここからはほとんど河原になってくる。 さっきまでの歩きやすいナメと違い、歩きにくい・・・。 |
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13:40 両門の滝に到着。 釜の沢の代表的な滝の一つ。 なかなかに迫力がある。 休憩後、右の東俣を進む。 滝の右側から巻いていく。 |
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14:10 ヤゲンの滝(15m)。 右からは迷い沢が出合っている。 さて、ここがとにかく大変であった。 本来、遡行図を持っていれば、書いてある通り右から登ることになっただろう。 しかし、持っていなかった我々は真新しい赤テープに従い、左から巻いてみた。 踏み後や残置スリングもあり、こっちだろうとどんどん登っていったら、崖の上に出てしまった。 全く進めなくなってしまったので、仕方なく最初に戻り、再度検討。 すると意外にも滝のすぐ横を直登出来そうであったので、 赤テープの巻き道から滝に取り付き上を目指す。 思ったよりも難しくなく、すんなり上部に出ることが出来た。 15:20 そのすぐ後に7mほどの滝が出てきた。 左側に残置スリングがあり、それにしたがって登っていく。 |
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広河原に入り、ゴーロ帯をひたすら歩く。 ところどころにビバーク適地が見られるが、少しでも距離を稼ぐために歩く。 16:15 右岸から支流が入る。 支流は涸れていたが、かなり大きめな谷で、位置も把握しやすい。 キリがいいので付近でビバークすることにした。 枝沢少し手前の右岸にかなり広いスペースを見つけたのでここに決める。 秋ということもあり、そこら中に薪があり、焚き火をするにはには全く困らない。 岩でかまどを作り、夕食の準備をする。 今夜のメニューは特製牛丼と鶏肉・しらたきの煮物。 メチャクチャ米を炊き、全員大満足であった。 18:45 あまりの疲れに、早くも就寝。 |
三日目
05:00 起床。 前日よりも寒い・・・。 まだ空は暗く、星がかなり見えている。 前日で寒いのに慣れていた渡辺が焚き火を作る。 しかし、全く火が付かないため、結局寒いのをこらえてみんなでやった。 朝食はまたもやカップラーメン。 昨日と同様、昼は行動食のみとなった。 07:46 よくわからない内に時間が経ち、ようやく出発。 頂上までは昼前に着く予定。 すぐの二俣を右に進む。 |
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08:33 徐々に高さを増していく5段の階段状ナメ滝(2,4,8,6,10m)。 最後の滝をクリアすると左から水師沢が出合う。 ふと右手を見ると「甲武信岳←→ナレイ沢」という看板が見える。 09:14 左から1:2で支流が出合う。 正面の木に丸い看板で→が描いてあった。 矢印の下には「甲武信小屋50分」とも書いてある。 もうすぐかぁ・・・。 |
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支流を過ぎるととんどん階段状が続いた。 そして上部では倒木が目立ち、突破に苦労する。 ヌク沢に来た時に、今年は台風の影響で倒木が多いと聞いたが、まさにその通りだった。 涸れ沢を右に見ながら、30mのスラブ滝を通過。 高度感があり、緊張させられた。 この地点から、随所に氷を発見する。 とは言っても小さい氷柱や、岩の表面が凍っていたりしていた程度。 だが、これで今が異常に寒いことを実感した。 |
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09:47 木賊沢出合。 どちらも水量が少なく、1:1くらいで流れている。 やや木賊沢側から巻き道に入り、本流の30mナメ滝を巻く。 巻き道の入口には新しい赤テープがあり、巻き道自体は登山道のようにしっかりした道だ。 沢に戻って、また上を目指す。 傾斜がきつい・・・。 |
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10:13 ポンプ小屋到着。 ようやく沢が終了。 太陽が出ているのにも関わらず、吹き荒れる風のせいでとにかく寒い。 休憩していたかったのだが、あまりの寒さにさっさと小屋に行くことに。 すぐ後ろの階段を上り、歩きやすい道を進む。 |
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登山道を進むと、2箇所ほど開ける場所があった。 この日は特に晴れ、遠くの山々が見えた。 さらによく見ると富士山までが見える。 なかなか登山している気分になり、少し楽しくなった。 10:31 甲武信小屋に到着。 小屋前には誰もいない。 まぁ平日だから当然か・・・・。 と装備を整理していたら、何組かやってきた。 平日でも人は来るんだな・・・・。 |
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11:16 出発。 とりあえず天気もいいので、木賊(とくさ)山を登頂してみることにした。 急な傾斜を進む。 あまりの天気の良さに、とても清清しい。 11:32 木賊山登頂。 なんとも地味な山頂。 写真の展望スペースの方がよほど写真写りがいい。 |
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前回は徳ちゃん新道を通って駐車場まで下山した。 そこで今回は近丸新道を通り、どちらが良いかを比較することにした。 二つの分岐には小さいが看板があり、まぁわかるでしょう。 前回はなぜ見逃したのかさっぱりわからない。 14:43 ヌク沢と合流。 新しい堰堤が懐かしい。 あまりにものんびりと進んでいたため、当初の予定とはかなりずれてきているが大丈夫。 大学に着きさえすればいいんだから。 |
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15:24 下山終了。 あとは駐車場に向けて道路を歩くだけ。 バス停付近で甘酒の無料券を配っていた。 せっかくだからもらおうと、公衆便所の反対側にある天下一に行き頂く。 余った行動食がよく合う。 16:25 駐車場に到着。 適当に着替えたらすぐに帰宅。 さっさと家に帰りたかった。 帰り道、カーナビが古くて道が表示されず、迷った先が高速だったためつい乗ってしまった。 しかし、おかげで2時間くらい早く帰ることが出来た。 |
各人雑感
寺内 | 今回は非常に忘れ物が多かった。 朝食、遡行図、そして調理器具。 これだけ忘れてきたのも珍しく、間違いなく今回一番反省するべき点だ。 大事な時に大切なものがないのは非常に痛い。 各自持参する装備の確認の重要さを思い知らされた。 次回から本当に徹底していこうと思う。 さて、今回の活動だが、とにかく寒かった。 初日の夜からずっと感じていたが、沢遡行中も下山中もビバーク中もずっと感じていた。 やはり沢登りの時期としてはこのくらいが限界であると思った。 釜ノ沢は一度来たことがあったため、その素晴らしさを予め知っており、非常に楽しみであった。 今回は特に紅葉が素晴らしい時期であり、また天候も非常に良く、より一層この沢を楽しむことが出来たと思う。 満足な3日間だった。 |
吉川 | 今回は中級なのにザイルの要らない沢だと聞いていたので正直ナメていたがやはり中級、 滑れば死にそうな場所も2,3箇所あり結構怖かった。 また気温に関しても予想外に寒く、活動着以外は上着一枚と半パンしか持っていなかった自分には過酷な夜となった。 しかし釜ノ沢は評判どおり非常に景観の美しい沢だった。 特にアプローチの途中で見た大滝の数々や千畳のナメ周辺は素晴らしかったと思う。 またビバーク地も寒いことを除けば快適で屋久島では出来なかった焚き火も出来たし、食事にも大満足であった。 何より星が綺麗であった。 今年最後の沢登りに相応しい活動であったと思う。 |
渡辺 | 今回の活動はは現地まで藤沢先輩が同行してくれたのが嬉しかった。 初日、おぼつかない僕の運転でカーブのだびに部員を生命の危機に瀕させた。 2日目の朝、寒い。 あまりよく眠れず、藤沢先輩も帰京し、これから始まる遡行に対して不安と面倒臭さを覚えた。 それでも釜の沢出会いまでは比較的心の余裕もあり、楽しく行けた。 そして『千畳のナメ』には今までの僕の沢登体験(それほど多くはないが)のなかで1番不思議な光景だった。 林の中を延々と続く滑らかな岩肌の上を静かに水が流れ落ちていく光景。 不思議だった。 そのあとにヤゲンの滝を遡行図忘れのためと曖昧な目印のテープのため、巻きを間違え1時間急な斜面を登って下りた。 そこが2日目最大の精神の汚濁が激しい時だった。 ビバークは玉葱の切り方等の手際の悪さを吉川に窘められた。 3日目の朝は本当に寒かった。 寒すぎる。 焚火をおこそうと一人奮闘するも燃えず、手際の悪さに少し業を煮やした吉川に交代、手ほどきを教わる。 遡行はガレが1時間以上続き、体力をとても消費した。 すると水支沢合流地点からポンプ小屋までナメ状や岩場の急斜面がつづき、僕は登っては立ち止まり、登っては立ち止まりながらナントカついていった。 急斜面からの景色は紅葉した山々と崖のコントラストが美しかった。 難所を登る時にはすかさず先輩がお助け紐をだしてくれたのがとても心強かった。 甲武子小屋で休憩の後下山が始まる。 息も絶え絶え、というわけではなく登ってくるよりは楽。 でも長い。 もう近丸と徳ちゃんの分岐は過ぎただろうと進んでいたらまだ分岐は過ぎてなかったことが発覚。 下山は長かった。 途中僕は精神的に打ち菱がれ無言に。 そんな僕を気遣い何回も話を振って気を紛らせようとしてくれた吉川、先輩に感謝する。 ヌク沢に着いてからは、トロッコの軌道上に道が続き歩きやすくすぐに着くことができた。 釜ノ沢遡行は僕にとって初めてのビバーク伴う活動、ましてそろそろ寒くなってきた初冬に行うという過酷な条件は、強靭な精神力を養うまたとない機会になった。 今回特に吉川に助けられたシーンが多く、この恩を返す為にも活動に参加し、日々の体力向上に取り組み、技術向上に励みたい。 が、取得単位1桁の僕はまずは単位取得を第一目標とし邁進していくべきということを思い出した。 両立できるように徹したいと思う。 |
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